私は本当に「ついやってしまう」仕組みを知りたかった。
例えばついご飯前に手洗いアルコール消毒をしてしまう仕組みづくり。例えばパッと見ただけで新人からベテランまで同じ嘔吐処理ができる環境づくり。人に教えても行動一致に限界があるから、環境を変えて「ついやってしまう」仕組みを作ればよいと思ったのだ。
本当は自治体の図書館で借りようと思ったが、予約数が多かったためキンドルで購入した。
あまり中身や筆者のことをしっかり見ていなかったのも悪かったが、内容はゲームの話。なぜファミコン世代はマリオが画面にいるだけでコントローラーを操作してゲームを進めることができるのか?そこに「ついやってしまう」仕組みがあったのだ。私も小学生の時にポケモンが初めて発売され、それこそ寝る間も惜しんでやりこんだ世代であるが、売れるゲームは大筋流れが一致しているらしく、幼いころの私はどうやらゲーム制作会社に踊らされていたのだということが発覚した(笑)
「ついやってしまう」体験というのはゲームに限らずいろんな場面で活用ができると考えられる。例えばイベントごと、レクチャー、指導など、プレイヤー本人が飽きずめげずにゲームのようにやりこんでしまう仕組みは「作れる」。
本書は確かにゲームの話なのだが、この体験をデザインする分野は心理学や認知科学などの学問を横断しているため学術的には系統だっていないこともあり、内容は新鮮であった。ゲームの話だけでなく、自分たちの仕事や生活にも応用が利くであろう。加えて、参考文献リストが充実しており、本書からまた学びを広げることにつながる。「ついやってしまう」体験をデザインしてみたい人に、本書は参考になると思われる。