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【書評】★5 ごみ収集という仕事:清掃車に乗って考えた地方自治

 ちょうど子供とYouTubeで自分の住んでいる自治体のゴミ収集がどのような流れで行われているのかを特集した短い番組を見ていた時だった。

息子が「ごみしゅうしゅうしゃ!」と喜んで手を振っている。ゴミ収集車は子どもにとって非常になじみ深い。保育園の前にも資源ごみの回収場所があるし、うちの自治体は音楽を流しながら車がやってくる(引っ越してきた際には驚いたものだ)。

ゴミ収集の方々も保育園の子が手を振るのをにこにこして手を振り返してくれる。暑いのに長袖だったり、ごみは重かったりできっと大変だろうと感じていた時に、本書を手に取った。

ごみ収集という仕事: 清掃車に乗って考えた地方自治

ごみ収集という仕事: 清掃車に乗って考えた地方自治

 

 本書は研究者である筆者が実際に新宿区のゴミ収集員となって見えてきた実情と、東京都のゴミ収集システムをつづり、自治体によって差があるがこのような仕組みのもと動いているのだということを教えてくれる良書である。

なぜ良書といったのか?それは、筆者がお客様対応ではなくほぼ一年ほどしっかりゴミ収集を続けていたことから見えてくることが書かれているからである。すなわちそれはゴミ収集員の一日であったり、なぜゴミ収集という働き方を選んだかであったり、ごみ収集員の仕事にはごみを集めるだけではないということだったりーーつまりは目からうろこの情報がたくさんあったのである。

なぜゴミ収集員は真夏でも長袖なのか?--それは生ごみをゴミ収集車がクラッシュしたときに中身が飛び散る可能性があるから。

なぜここで働いているのか?--下請けのため残業代が出ず、きっかり帰れるから。また車の運転手が別の会社の人間でそちらのほうが給料が高かったりするから。

なぜ時間通りに回収していくのか?--ごみ処理場の処理時間に間に合わせるため。

 

この本を読むたびに、マンションで一人暮らしをしていた若い時代、ごみをあまりきっちり分別せず、とりあえず燃えるゴミに入れていたことを本当に申し訳なく思う(私自身の実家はリサイクル施設が粗大ごみしかなく、他は燃えないゴミ以外は大体燃やしていたのも習慣がついていない理由の一つかもしれない)。

筆者が飛び込んだ新宿区といえば歌舞伎町など飲み屋街が多いためルール無視というよりルールが読めない人も多そうだ。そういった人たちにどのようにアプローチをするか、当然苦情対処も仕事のうちのだそう。そういえば、大学の時に住んでいた地区も、ごみ出しのルールが守られていないランキング1位であったことを思い出す。大学に「ごみの分別はしっかりして、決められた曜日に出しましょう!!」と書かれていたのを思い出す。

今でこそ兼業主婦になりマンションでないためいつでもゴミが出せるわけではない。家のごみを集めて回る係になったことからゴミはしっかり分別するようになったが、

どうやら私たち一人一人がゴミ分別はしっかり行ったほうが良いようだ。それはゴミ収集の場で働く人たちのためだけではなく、リサイクルや燃焼の効率を考えるともう今日から実践するしかない。

この話を子供向けにかみ砕いたような絵本が本屋においてあるのも見た。また自治体によっては担当の者が無料でゴミ分別講座を開いてくれるところもある。大人だけでなく、子供のうちからゴミの流れ、分別、リサイクルについて意識を持たせることも、人として社会に生きるものの使命かもしれない。

それから、ごみ収集員さんを見たら、必ず手を振ってありがとうございますという。おかげさまで、地域はいつもきれいです。