いろいろなことに挑戦する記録

二児のワーママ、人生を合理的に進める記録

★4 異教の隣人

 昨今、日本人人口が減ると共に移民が増えてきており、彼らの宗教や文化も日本に入り込んできている。そしてダイバーシティの名のもと、共存が叫ばれている。
 本書はもともと毎日新聞大阪本社版の連載記事であり、それを書籍化したものである。毎日新聞記者の皆さまが実際に「異教の隣人」に出向き、丁寧で偏らない質問を投げかけインタビューしたものをまとめたものである。

 

異教の隣人

異教の隣人

 

 

 韓国キリスト教イスラム教もあれば、コプト教会ロシア正教会など一般的な日本人にとってはマイナーなもの、また巫俗などほとんど聞いたことないものまでインタビューに伺っていた。東京も人種のるつぼだと思っていたが、大阪はそれ以上の顔ぶれであることに驚いた。
 さて、本書のインタビューまとめを読んでいて感じたことは、「宗教」の考え方が違うな、というところである。
 日本は困った時の神頼みという言葉があるほど、その存在自体が軽い。
 しかしここでいう宗教とは、常に各々の神のご意向を伺い生きていく形であり、生き方そのもの「way of life」なのである。宗教が文化になっている理由も頷ける。インタビューとその回答が非常に丁寧なため、それぞれがどのように考えてこの異国での生活の困難を乗り越えているかがよく理解できた。

 本書の中でイスラムの女性(イスラマ)が、頭にかけるヒジャブについてこのように語っていた。「これをつけると、(変なものだなぁと)ジロジロは見られるが、男の人に(色気を使われるような)変な目で見られることもない」。折しも「だから私はメイクする(劇団雌猫 著)」という本を試し読みした時に「ちょっと服装や化粧をしただけで、会社の男性からチェックが入るのが嫌」という文章を読んだところであった。

だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査

だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査

 

  本書では様々に信仰する神の形は違えども、神を畏れ敬い「他の人の目よりも神様の目が気になる」という姿勢はどこにでも見られた。他者の目ばかり気にして生きている世界に、突き刺さる言葉である。

 本書では日本に住む多種多様な宗教文化を学ぶことができると思っていたが、思わぬところでほかの学びも得られた。郷に入っては郷に従えという言葉があるが、遠く離れた日本での生活の中で生活するのは簡単なことではないだろう。自分の中の生き方、偉大なものへの敬い方、またその教えは自分の軸となっており、自分自身の中で永遠に揺らがず変わらぬものであると、改めてその「強さ」を教えられたのであった。