いろいろなことに挑戦する記録

二児のワーママ、人生を合理的に進める記録

【読書】在野研究ビギナーズ

私は学士までしかもっていない。修士も考えたが、お金がなかった。それになにより先がない。学位が評価されない分野ですし。いつもお金のことを不安に思いながら博士課程をやるのは嫌だ。生業にしたいわけではないが、研究自体は興味が持てたし分野に関してはただただ突き詰めたい。そんなアンビバレンスな気持ちの私の前に現れた本が本書である。在野研究とは?興味を持って手に取った。

在野研究ビギナーズ――勝手にはじめる研究生活

在野研究ビギナーズ――勝手にはじめる研究生活

 

本書は本業(主にサラリーマン)をしつつ、週末など空いた時間で自費研究や研究会に参加、学会に参加している人らの経験談を編纂したものである。在野研究者とは、アカデミア所属ではなく、独自に活動している知識人たちである。なぜそのような道をたどったかは十人十色だが、やはり研究が好きであったりそのテーマを突き詰めたいという気持ちは共通しているようだ。

本書を通して知ることができた在野研究の特徴は、ノルマなどがないといったメリットはあるものの、一方で研究機関に属しない代わりに研究費やコネ、信頼が得られないというデメリットがあるということである。そのデメリットをそれぞれ独自の方法で解決していて、なるほど勉強になった。

研究には様々なデザインがあると思うが、本書を読む限り在野研究には向いているデザイン、向いていないデザインがあると考えた。

向いているデザインは、資料調査研究や文献検討だろう。もちろん大学に属して使えるツールを増やすこともできるが、個人でもできる場面は多い。

一方で向いていないデザインは、インタビューや大きな機材で解析が必要になる研究だろう。所属していないという信頼のなさ、何千万もする機材は、やはり研究機関に所属することで解決される部分がある。

本国では基礎研究にお金を出し渋り、工学(実用的な)研究に研究費を回す傾向にある。そんな中で、所属にとらわれない自由な立場からの研究は、研究機関ではできないような大胆な研究ができるかもしれない。研究内容がニッチであればニッチであるほど、もしかしたら在野研究が向いているのだろう。

研究者としての道は様々な理由であきらめざるを得なかったが研究は好きだ、という方がいたら、在野研究も選択肢に追加してもよいかもしれない。

追伸

研究とまで行かなくても、マニアがいるのは周知のこと。論文を噛み砕いて同人誌にしてコミケで売るのもまた、面白いかもしれない。