「 ここまでっ…!!邦題で損している本はあるだろうかっ…!!」
と、私の中のカイジが叫んでおります。この手の本はこのようなタイトルにしなければ売れないと編集者が判断した結果でしょう。タイトルが内容と合っているだけあって、「そうなんだけど!!そうなんだけどさぁ!!もうちょっと、こう…」という気持ちが抑えられません。
中身はというと、「経済学博士ホルダーの心配性な性格の私が妊娠出産をするにあたって提示されるガイドラインや根拠が全くないおばあちゃんの知恵的な俗説を信じきれないから個人的に検証してきた記録」です。そして本書のキーワードは「因果関係と相関関係を混同してはいけない」。
この本を手に取ったきっかけは、18年6月の記事。ずっとブックマークに入れたまま読んでいなかったものをここ最近やっと読むことができました。
確かに出産子育て界隈には謎の俗説が多いなと思っていたので、当時はすごく真剣にそれを論破するために大学院に行こうとすら考えておりました。筆者も同じような気持ちだったようです。
妊娠中は猫の糞の処理をしてはいけない?コーヒーを飲んではいけない?ツナサンドを食べてはいけない?妊娠中は様々な禁止事項が多いのですが、それぞれに深く考えて本当かどうか検証している本書。「そうそう!それよ!知りたかったことは!」と膝を叩く気持ちで読み進めていました。
たまごクラブのいう駄目なことリストに少しでも疑問を持った妊婦さんは、体調が良いときにちょっとずつ読み進めていくと面白いかもしれません。出産後は、読めない可能性のほうが高いですから。
また、妊婦にこれはどうなんだろう?と言われることが多い立場の方も、面白く読めるかもしれません。
今言われている「やってはいけないこと」には、喫煙などといった本当にやってはいけないことと、そこはまだ質の高い研究がされていないからはっきりとは言えないけれど…ということの2つに分かれます。はっきりと言えない部分も総じてダメ!だからなんでもダメダメ!なのをうのみにしていると、心身共に参ってしまいます。
しかし、ガイドラインや禁止事項とは、日々の食事の栄養基準にも言えることなのですが、「〇〇はしちゃいけない!と言わないと絶対やってしまう人向け」に厳しめに作られていると感じます。例を挙げるなら、お酒は本当は0にしなくてもよいのだけれど、1杯くらいOKだよ~と言うと2杯3杯と飲んでしまう人が世の中にはいます。だからこそ厳しめにアルコールはダメ、と言わざるを得ないのです。
というわけで、やってはいけないことはあるのだけれど、気にしすぎなくてよいものもあるよ、というわけです。
似たようなことはこちらの本にも。こちらのほうが薄くて読みやすくて電子書籍もあり。
理性的に判断できるうちに、参考資料として、また小説風の読み物としてどうぞ。
ちなみに2007年のですが、筆者のTED動画が面白かったのでリンクを入れておきます。