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【書評】からだの知識は5歳から!

 保育園における看護師の専門性とは?

それを考えた時、私が思いついたのは「ヘルスリテラシー向上」でした。

もともと保健師免許ホルダーで、病棟・外来勤務時代も「体のことについて知識が少ない」方々が知らないがゆえに騙されたり、あるいは病院に行くというアプローチを知らないでいる現状をどうにかしないと、病気になる人は減らない。予防が大事であると考えていました。

母親になってからは、いとも下心のある人は、人の不幸や不安に付け込んでアンチ医療を刷り込んでくるのだなと身に染みて実感しました。具体例は枚挙にいとまがないのですが、例えば「冷え」がすべての原因だと言い切ったり、「反ワクチン」・「骨盤」・「子宮」界隈、アロマ、ハーブ、マクロビ…などなど…。そしてそれにそそのかされる母親たち。知らずに親の実験体とされる子どもたち。生きた知識こそ武器、防壁であると痛感させられたのです。

そのような現状を見て、何が看護師としてできるか?といえば、まさしくヘルスリテラシーの向上に貢献することであると考えました。

では、どうしたらよいか?具体例を昨年4月からずっと考えてきました。その一助となるようにと参加したのが、以下に紹介する書籍を編纂したNPOからだフシギの研修でした。

からだの知識は5歳から!

からだの知識は5歳から!

 

 保育園看護師の教育の主だったものは、おそらく「手洗い」「うがい」「歯磨き」など実践的なことでしょう。他の保育園看護師に聞いても、そのような回答が返ってきますし、むしろこのようなことすらできていないくらい保育に入っている看護師がほとんどのようです。

ですが本書の面白い点として、教えるのは「からだ」のことであるという点です。

つまり、「呼吸器系」「脳神経系」「泌尿器系」「筋骨格系」「生殖器系」…からだフシギさんから購入した見本の絵本は、幼児にとっては難しいのではないかと思うほどに「理科(むしろ生物)」でした。例えば呼吸器系ではガス交換の話が出てきます。泌尿器では血液がどのように尿となり排泄されるか解説されています。私もはじめ読んだときは「これはちょっと…難しすぎるのではないか」と二の足を踏んだほどです。

しかし研修に参加し、NPOメンバーの大先輩にお話を伺ったことではっとしたのは、体のことは現実であり、ファンタジーな絵本で体のことをファンタジー化してはいけないといわれたことです。

身体のことを実際のこととして受け取らなければ、そのまま小学校に行った後もふわふわとした印象となってしまう。同じく参加していた養護教諭さんには、ファンタジーにしてしまうからこそ実感がなく健康教育もふわふわとした参加態度になるとおっしゃっていました。だからこそ、事実は事実としてそのまま伝えることが大事、と。

少しわき道にそれますが、最近性教育をする・しないが話題になる地域もあるそうです。今回参加した研修でも絵本の中には生殖器の本もあり、お母さんの「赤ちゃんのもと」とお父さんの「赤ちゃんのもと」が合体して赤ちゃんになるんだという内容もあります。ですが生殖器も体の中で取り立てて重要ではなく、他の臓器と同じぐらい重要です。それぐらいフラットに体のことを扱えるよう、他の臓器のことも同じように子どもたちに学習してもらい、その中で生殖器のことも含めるぐらいの感覚でいかないと変に生殖器が神格化されてしまうことになるということでした。非常に参考になりました。

本書にはNPOが発行した絵本のほかにオリジナルの人体模型図を作ってより分かりやすくしている例が載っています。絵本だけでは補えないところを、目に見て触って実感することによって理解を深めるという点で、非常に参考になりました。

研修を受けるとともに本書を読むことで、教育やりたい!という気持ちにさらに燃料がくべられたような気持になりました。繰り返し読み、モチベーションをアップしていきたいと思います。

 

参考までに

karada-kenkyu.jimdofree.com